今回は英語勉強法中級編。偏差値50以上の人が60の壁を越えるための最短勉強法を紹介します。
今回も単語、熟語、文法、読解(精読・長文)の順で、1分野1冊の原則で必要十分な4冊を紹介します。
偏差値50ってどんなレベル
そもそも偏差値50ってどんなレベルなのか、まずはそこから書いていきます。
高校偏差値50を越える学校に通い、授業を真面目に受けて、テスト前にもそれなりに勉強して、平均点を10~15点超えてきた人、それが大学受験の偏差値50です。
偏差値50は大したことのないように感じるかもしれませんが、それなりに真面目に勉強してきた人です。学校の勉強はそれなりにやってきた、でも受験勉強はなにもしてない。これが偏差値50です。
そして、このあたりが最も該当者の多いボリュームゾーンになります。 下記の図を見てもらえれば、偏差値50前後だけで全体の4割近い人たちがいることがわかります。
有名大学、難関大学に合格したければ、良い意味で少数派にならなけばなりません。
単語・熟語:DUO3.0
それではまずは単語と熟語の話から入りましょう。
ハッキリ言って単語熟語帳は何でもいいです。既に偏差値50を超えているのであれば、各出版社が出してる定番の単語帳を使っていれば問題ありません。
熟語ならここらが定番です。
どれを使おうと、最終的には大差ありません。シンプルなのが好きだからターゲット、先輩がオススメしてたからシス単、文章で覚えたいから速単、そんな感じでOKです。
今回は最短4冊の効率勉強法なので、受験生はあまり馴染みのないDUOをオススメします。
DUOは単語帳と熟語帳が一つになった単語帳です。
評価はアマゾンの絶賛レビューを見てもらえればわかるくらい好評です。私は大学生になってから使い始めましたが、もっと早く使ってればと思いました。
何が良いかといえば効率性です。普通は単語帳と熟語帳の2冊をやらなければいけませんがDUOであれば1冊で終わります。
単語の暗記だけでも大変なのに、その上、熟語をやるのは結構きついです。暗記が大得意!みたいな受験生ならいいかもしれませんが、2冊より1冊の方がハードルは低くなります。
DUOは掲載単語が少ない?
確かにDUOは定番単語帳と比べて掲載単語数が少ないです。そして語彙数が多いほど英語が有利になることも認めます。しかし忘れてはいけません、コンセプトは「最小の努力で最大の効果」です。
単語帳と熟語帳、2冊できるならそれに越したことはありません。しかし、単純暗記は正直面白いものではありません(でも避けられない)。
ではどうすればいいか?最低限必要な単語はDUOで覚えて、後は英文を読みながら覚えていきましょう。
まずはDUOに出ている単語熟語から覚える、そして長文問題集や過去問を解いて、そして知らない単語がでてきたらその都度覚える。
志望校の過去問を解けばわかりますが、どんだけ単語を覚えても知らない単語は無くなりません。だったら、合格に必要な分だけ先ずは覚えて、プラスαは英文から吸収していきましょう。
熟語は必要か?
ちなみに「熟語はやった方がいいですか?」みたいな質問がありますが、熟語は必須です。
熟語を疎かにする受験生は多いですが、その分差が出る単元です。DUO+網羅型文法問題集(↓次)だけでいいので、必ず取り組んでください。
文法:英文法ポラリス標準レベル
以前は下記のような網羅型文法問題集と呼ばれる参考書をオススメしていました。
しかし、共通テストでは4択問題が無くなるなど、受験英語における文法の立ち位置が大きく変わりました。
つまり、文法問題を解くための文法知識→英文を正しく読むための文法、への変化です。
英文解釈やリスニングにより時間をかけなければいけなくなったので、文法問題集も効率的に学ぶのにオススメなのがポラリスシリーズです。
網羅型問題集がどれも1000問以上収録されているのに対し(ネクステ1474問、アップグレード1261問)、ポラリスは400問ほどしか掲載されていません。その分解説が丁寧です。
もちろん多くの問題に当たっていた方がいいですが、より厳選され、丁寧に解説されてると考えて下さい。
入試は満点ではなく合格点を取れればいいので、その意味でも文法問題にかかる時間をより効率化できることを優先しました。
到達点
いつ、どの問題を解いても正解できて解説もできるを到達点としてください。
そのレベルで落とせる問題はありません。100%を目指しましょう。そのために何度も繰り返して下さい。
物覚えが悪いと思うなら人一倍繰り返して下さい。反復の回数はあなたを裏切りません。他の人より問題数を減らした分、徹底的に吸収してください。
入試は変わっても文法の価値は変わらない
共通テストでの文法問題はなくなりましたが、私大をはじめ大学入試では4択問題は依然出題され、長文の中で文法知識を問う問題も出されています。
文法問題集のウエイトは下がりましたが文法知識は変わらず必要なことを心にとどめておいて下さい。
英語を正しく読むために文法の知識は必須です。4択問題がなくても、和訳問題がなくてもそれは変わりません。文法軽視をしないよう注意してください。
英文解釈:英文熟考
和訳がないという理由で英文解釈に取り組まない受験生がいるが、非常に危険です。単語と文法の知識は必要ですが、それだけではいつか頭打ちにあいます。
精読をキチンとやる意味は、脳内で単語を繋げて意味を捏造しないためです。試しに、次の英文の和訳(あるいは意味)を考えてみてください。
It is important to recognize that one of the most remarkable things about the great philosophical books is that they ask the same sort of profound questions that children ask.
竹岡広信著「大学受験のための英文熟考 上」英文No.30より
どうでしょうか?ある程度英単語のストックが増えていれば、知らない単語はないと思います。
しかし「何となく英文が読めている」と「正しく英文が読めている」には結構な差があります。
難関大学になればなるほど選択肢がひねられてくるので、その何となくが命取りとなります。
抽象的な文章や、よく知らない分野の英文になると単語から勝手にストーリーを作ってしまう、そんな人には本書がオススメです。
何が良いってレイアウトがいいです。基本的には見開きで完結するようにできています。
以前は旺文社の基礎英文問題精講を推してきましたが、とっつきやすさから英文熟考に変えました。
精読や解釈系の参考書は、その性質上どうしても抽象的な英文が多くなり、その堅さゆえに取っ付きにくいです。
英文熟考は、レイアウト、付属の音源や講義音声など、かなり取り組みやすい工夫がされています。
英文解釈のポイントと注意点
構文や解釈に限らず、英語を読む際に注意すべき点は次の2つです。
- 主語(S)と動詞(V)を見抜く
- どこがどこを修飾しているか見抜く
あまり複雑に考えず、先ずは主語と動詞に注意するだけでも、相当読みやすくなります。
では、改めて先に挙げた英文を見てみましょう。
It is important to recognize that one of the most remarkable things about the great philosophical books is that they ask the same sort of profound questions that children ask.
先ずは文章全体の主語と動詞と、そしてできれば目的語or補語を確認する。
- 主語:It(ただし仮の主語なので to recognize that~が本当の主語)
- 動詞:is
- 補語:important
というわけで、ここまでを訳すと「that以下を認識すること は 重要だ」となります。
It is important to recognize that one of the most remarkable things about the great philosophical books is that they ask the same sort of profound questions that children ask.
では次にthat節内を見てみましょう。
- that節内の主語:one of the most remarkable things about the great philosophical books
- that節内の動詞:is
- that節内の補語:2個目のthat~以下
というわけでここまでを訳すと「偉大な哲学書に関して最も注目すべきことのひとつ は that以下だ」となります。
It is important to recognize that one of the most remarkable things about the great philosophical books is that they ask the same sort of profound questions that children ask.
この2文を組み合わせれば「偉大な哲学書に関して最も注目すべきことのひとつはthat~以下だ、ということを認識するのは重要だ」となります。
後は同じ要領で、最後のthat節を整理していけば終わりです。詳しくは本書のp82~83の解説をよく読んでください。
繰り返しましたが、単語と熟語だけではいつか限界がきます。そうならないように、このレベルの構文解釈に取り組んでください。
あえて違うものをオススメするなら入門英文解釈の技術70です。類似品があるので間違えないように注意してください。
長文読解:過去問
一応オススメは挙げますが、ここまできたら志望校の過去問を解いていいです。
今まで紹介した参考書を確実に仕上げていれば、GMARCHの英語には対応できるはずです。後は各大学の傾向や、自分の苦手分野に合わせて調整してください。
リスニング対策を意識する
ただ、あえて長文参考書をオススメするなら、音読やシャドーイングを意識したものを選んでください。
共通テストや英検といった外部試験を利用する入試が多くなり、リスニング対策は必須となりました。なので単に英語長文を読むだけてなく、その後の復習でリスニング対策もできるものを選んでください。
現状のオススメは大学入試 レベル別英語長文問題ソリューションです。
300語程度の英文が選ばれており、音読やシャドーイングを意識した作りとなっています。
英語長文と言えば、英語長文ポラリス、ハイパートレーニングもありますが、こちらは500~1000語の英文も収録されており、手軽な音声トレーニングとしてはやや不向きです。
300語であれば3分程度の音源になるので、隙間時間で復習できる意味でもソリューションをオススメします。
最後に:やる気と選択の話
導入編でも触れたが、勉強の最大の敵は「やる気」です。そして、やる気を無くす最大の要因が何をどこまでやるか分からないことにあります。
何をどこまでやるか分かっていれば脳はやる気を出してくれます。ここにその答えを書いておく。
後はあなたが「やるorやならい」を選ぶだけです。成績UP、合格までの正解はここに書きました。最後の2択、やるかやらないかを選ぶのは、教師でも親でも兄弟でも友達でもなく、あなた自身で選んでください。
*本記事は2015年に書いたものを2021年8月に加筆修正したものです。