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登木健司の「難関大英語長文講義の実況中継」は最難関受験生にオススメ

表題の通り、↓こちら登木健司先生の「難関大英語長文講義の実況中継」を1周したのでレビューを書いていきます。

購入を検討している受験生の参考になれば幸いです。

登木健司 難関大英語長文講義の実況中継【早慶上智・関関同立・MARCHレベル】 (実況中継シリーズ) 登木健司 難関大英語長文講義の実況中継(2)国公立大学編 (実況中継シリーズ)

結論から言うと「いい本だけど、使用者は選ぶ!」

そんな感じです。それでは早速いってみましょう。 

 

 

基本情報

  • 作者::登木健司
  • 出版社: 語学春秋社(実況中継シリーズで有名な出版社)
  • 発売日::2017/10/24(最近)
  • ページ数:524ページ(参考書の中では分厚い)

524ページと結構厚めですが、これはこの本の特徴でもある「講義形式の丁寧な解説」のためでした。

 

目次と掲載問題

設問付き英文が全部で11問掲載されています。出題大学と文字数は以下の通りです。

  1. 青山学院大学 経済学部
  2. 早稲田大学 社会科学部
  3. 早稲田大学 社会科学部
  4. 早稲田大学 法学部
  5. 京都大学
  6. 京都大学
  7. 早稲田大学 文化構想学部
  8. 慶應義塾大学 文学部
  9. 早稲田大学 理工学部
  10. 慶應義塾大学 環境情報学
  11. 学習院大学 理学部

いずれも有名難関大学で出題された英文が収録されています。

少し補足を入れると、京都大学の英文は伝統的に短く、慶應大学の文学部と環境情報は大学受験の中でも最長クラスの英文が出題されます。

 

レベルと特徴

上記の出題校からわかるように、レベルとしては早慶レベル、英文としては受験最高峰の難易度です。

ただし、設問自体はそこまで難しいわけでもありません。読めない部分があっても正答できる問題もあります。

仮に点数が高くても慢心せず、精読したあと何度も音読して復習して下さい。英文の内容も面白いので、繰り返し読んでも面白いです。

受験に必須か?

やらないと早慶合格できないか?と言われればそんなことはありません。ややオーバースペックなところもあります。

レベルが追いついていなければ手を出す必要はありませんし、他教科が足を引っ張っているならそちらの対策をやった方が賢明です。

まとめると、既に英語が得意な人がもう一歩上に行くための参考書です。

 

この参考書に取り組んでいい条件

既に言及した通り、レベルは優しくありません。この問題集に取り組むべき人(というか条件)を3つ挙げておきますので、参考にして下さい。

ここをクリアせずに手を出しても得るものは少ないかなと思います。

 

1.シス単レベルの英単語帳を1冊終わらさせいる(9割以上覚えている)

2.ネクステアップグレードの様な網羅型問題集を終わらせている(正答率9割以上)

3.共通テスト過去問マーク模試でリーディング80点以上(100点満点中)得点出来る

 

この3つ全てを満たしたら、この参考書に取り組んで良いです!

条件に合わない人は、先ずは単語を覚え、文法の基礎定着に取り組んで下さい。そうすれば共通テストレベルで8割超えれます。

具体的にはこちらに書いてある事を一通りやった後がオススメです。

 

特徴は現代文的な読解アプローチ

英語長文の参考書は世の中に山の様にありますが、本書の特徴は何か。

それは 英語を読むのに現代文的なアプローチを取り入れている点です。

実際、現代文講師の安達雄大先生の現代文コラムも入っており、そこで用語の解説もしれくれています。

なぜ英語の参考書に現代文的なアプローチを入れる必要があるのか。それは抽象度の高い英文に対応するためです。

 

難関大の英文は抽象度が高い

過去問などに取り組んでいて、何を言っているのかよく文章に出くわした事はないでしょうか?和訳を読んでもよくわからない文章。それが抽象度の高い文章です。

偉人伝や身近なテーマなど、イメージがしやすいものは読みやすいです。一方で「美の概念」「無限について」「幸福とは何か」といった話題は普段接する機会がなく抽象的です。

抽象度が高くなるほど、頭でイメージしにくくなり、理解しにくくなります。

スマホが普及した理由」はイメージできるかもしれませんが「哲学的ゾンビクオリア働き」は検討もつかないと思います。

 

なぜ抽象度の高い問題が出題されるのか

なぜ抽象度の高い文章が出題されるかというと、学問の性質にあります。

学問を修めるとは極めて抽象度の高い行為です。さまざまな事象から共通点を見つけ出し法則化する。乱暴に言ってしまえばそれが学問の目的です。

学問とは具体を抽象する行為、大学とは学問をする場所、だから大学は抽象的な思考が出来る人間を求めているのです。

 

 

抽象度の高い文を読むためのアプローチ

では難関大学の抽象的な文章を読むためにはどうすればいいか?これには2つのアプローチがあります。それは①背景知識を増やす、②論理的に読む、の2つです。

 

①背景知識を増やす

入試にはあるあるのテーマがあります。

対人関係、移民、女性の社会進出、スマホ、テクノロジー、経済学、脳科学、言語、ざっと挙げるとこんな感じですが、このへんの基本的な概念を知っているだけで、一気に英文が読みやすくなります。

言い換えると「教養を増やす」となりますが、そのために読書をしている時間はありません。

多くの英文に触れながら、知識を増やしていきましょう。その際注意してほしいのが、知らない単語や概念を逐一(電子)辞書で調べて下さい。

辞書を読んでなんとなく分かったで満足するのではなく、人に聞かれたら答えられるレベルで理解してください。

 

②論理的に読む

どんなに知識や教養を増やしても知らないことはあります。全く事前知識のないテーマが出題されることもあります。

しかし、安心して下さい。英語のテストは教養を問うものでは無く、あくまで英語力を問う試験です。

背景知識を知っていた方が読みやすいのは間違いありませんが、無くても解答できる様に作成されています。

そこで大事になってくるのが論理的に読むことです。

 

論理的に読むとは

論理的と言ってもそこまで難しい事ではありません。

AはB、BはC、よってAはCが分かれば十分です。未知の内容を読むときはこの因果を抑え、単語同士の関係を理解するよう努めて下さい。逆にそこさえ抑えられれば正確に読解できます。

この論理的に読む手法としてロジカルリーディングと呼ばれる手法がありますが、本実況中継のコンセプト元となっているのが横山先生のロジカルリーディングだと思われます。横山先生は元々東進で英語を教えていた先生で、現在は大学で教鞭を取っています。

ロジカルリーディングについてより知りたい方はこちらの本がオススメです。GMARCHでは合格点取れるけど、早慶だと難しい。そんな受験生が壁を突破する助けになる本です。詳しく知りたい方はこちらの本をオススメです。 

 

背景知識と論理的読解の両方が大事

話を戻しますが、①背景知識を増やす、②論理的に読む、の2つができるようになる事こそ現代文的なアプローチだと思っています。

背景知識だけ増やしてもダメですし、論理的に読めても知識がなさすぎると時間がかかります。

自転車の両輪のように、この2点をバランスよく伸ばす必要があります。そして、この参考書はその一助になるはずです。

 

この参考書の後は何をすべきか

過去問です!

このレベルがスムーズに読めればほとんどの入試問題に対応できます。後は大学や学部の出題形式に合わせて、英作文や穴埋めなど運用能力を調整してください。

この参考書で受験最高峰レベルの読解法を身につけて、見事合格を勝ち取って下さい!

登木健司 難関大英語長文講義の実況中継【早慶上智・関関同立・MARCHレベル】 (実況中継シリーズ)

登木健司 難関大英語長文講義の実況中継【早慶上智・関関同立・MARCHレベル】 (実況中継シリーズ)

 

*追記

最初にレビューを書いてから約1年、国公立版も発売されました。旧帝大や一橋など難関国公立を目指す方はこちらをどうぞ!

登木健司 難関大英語長文講義の実況中継(2)国公立大学編 (実況中継シリーズ)

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