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没頭できることを求めて

お金で飯が買えない世界(後編)

さて、今回の続きで、今回は中国と日本の比較的な話である。貿易は為替や需要供給など様々な要因で決まので難しく考えがちだが、末端の立場から考えることで少しでも実感が伴えば幸いである。先に結論から言うと、

中国どーん↑で日本どーん↓である。

 

■日本と中国の変容

2010〜15年の両国の状況をザックリ振り返るとこうである。

日本:円安*=輸出が捗り、輸入が鈍化
中国:世界第2位の経済大国になり、物価が上昇、消費も拡大

(*ドルベース、国際市場ではドル決済が多い)

 

細かい話は省略するが、日本は民主党政権下の円高が2012年の政権交代で一変(ざっくり1ドル80円→120円)。円が安くなるということは、海外で買い物をするときに以前より多くの円が必要になるということで、購買力が下がる。

一方中国は順調に経済発展し、超金持ちの国になった(もちろんいきなりなったわけではないが)。お金があれば、使うお金も増える。爆発的に増えた消費の一端は「爆買い」などの社会現象として、最近も目にしたことがあると思う。

 

■ 供給側にはどう映るか

さて、話を食品貿易に限ってみよう。以前よりもお金があれば、食の多様化、高級化がすすむ。そこで、日本がそれまで買っていた市場に中国大資本もやってきたのだ。順調に国内消費が拡大している中国は、輸入すればするだけ儲かる状況になっている。輸入業者たちは当然買えるだけ買うのである。その結果、供給側からはこう見える。

 

日本:金払いが悪くて、品質にうるさい
中国:金払いが良く、細かい事は言わない

 

想像してほしい、自分が販売側だとして、どちらの客が良い客か。後者の方であろう。結果、中国への販売量が増え、日本への販売量が減る。そして供給が少ない商材や人気の商材に関しては、日本はお金を出しても買えない、という事態が起こるのである。

日本側ができる分かりやすい対応としては、買値を上げることである。しかし、それは日本国内での値上げを意味する。値上げして以前の様に売れるのか?どのくらいの売り上げが見込めるのか?ここら辺はどの商売でも同じであろう。

品質に関しては、日本が厳しいのは何となく想像できるよう。個人的には日本は世界一飯が美味い国だと思っている。そんな国で求められる食品の水準は、当然高い。日本人が「普通」とか「あたり前」と思っている標準は、他国(特に途上国)から見れば、かなり高い。かなりっていうか、めちゃめちゃ高い。もう「日本人バカなんじゃないの?」ぐらい思われている。

消費者として高品質で低価格なモノを求める気持ちはわかるが、ふたつよいことさてないものよ、である。今のような豊かで多様な食文化を維持したければ、バランスは大事だと思う。客様は神様、という言葉がある通り日本国内では買手の立場が非常に高い。だが、国際市場ではその道理は通じない。いくとこまでいっちゃって、日本は食物が買えません!は個人的にも避けたい。

(*故河合隼雄先生の言葉) 

 

■出会った中国とインドの経営者

仕事先で出会った中国人経営者に、会社の忘年会に呼ばれたことがあった。彼らは従業員たちが楽しく宴会している中、料理に手をつけず、酒も飲まず炭酸水を飲んでいた(求められれば口にすることはあったが)。今興味あるのは健康らしく、今後は美容や医療関係にさらに注力していくと言ってた。

別の経営者は全然そんなことなく、飲み、食い、愛人も囲っていた。反米的な思想の持ち主で、米英が嫌いで、日独露(要は歴史的にアメリカと対立したことがある国)が好きだと言っていた。日本文化に造詣も深く、宮本武蔵の「五輪の書」や紫式部の「源氏物語」が好きだと言っていた。まぁ、リップサービスも多分にあったのだろうが。

インド人の経営者は、数年後の経済大国は「1位中国、2位アメリカ、3位インド」だと言っていた。忘れてはいけないのは、インドもまた、広大な国土と10億以上の人口を抱えるアジアの大国なのである。中国の共産主義と資本主義は折り合うか?と質問したところ「いやー、言うて中国人賢いし、あいつら巧いことやりろるやろー」的な事を言っていた。

 

何がいいたいのかと言うと。中国は今後の経済状況は危ぶまれているが、国際市場はどこに行っても抜き差しならぬ相手ばかりで、そんな相手と日本の名も無きのビジネスマン達は伍しているし、今日も奔走しているのである。

 

ゆげ塾の中国とアラブがわかる世界史

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