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レディ・プレイヤー1はハリウッド版サマーウォーズ

5月1日映画の日レディ・プレイヤー1観て来ました。結論から言うと非常に満足度の高い作品でした!極力ネタバレしないように、感想を書いていきます。

 

 

あらすじ

詳しくは話す前に公式の予告を観てみましょう→Ready Player One – Official Movie Site – Now Playing(日本版のHPはネタバレが酷いので、英語版にしてます)

予告編を観てもらえてばわかるように、物語の舞台はVR内の世界です。

日本制作の作品で一番近いのはサマーウォーズ(2009年,細田守監督)だと思います。サマーウォーズでは「OZ」という仮想空間が、レディ・プレイヤー1では「オアシス」というバーチャル空間が舞台のメインとなります。どちらも、世界中の参加者が自分のアバターを作り参加し、各々自由に自分の好きなことをして過ごす場所として描かれています。ズバリ、ハリウッド版サマーウォーズと言って差し支えないでしょう!

サマーウォーズ

特筆すべきこと

しかし、そこは映画最先端国アメリカ、ただのサマーウォーズでは終わらせない。レディ・プレイヤー1では、気が遠くなるほど凄いクロスオーバーが行われています。

初見で確認できただけでも、ストリートファイターリュウ春麗七人の侍椿三十郎など黒澤明作品に欠かせない名優三船敏郎、等々。日本で育った者としては「おぉ!」と思うキャラクターがたくさん登場します。確認できませんでしたが、デジモンハローキティも登場しているらしいです!

七人の侍

オタクという教養人

この映画で重要になってくるのが、オタクとしての教養だ。これは僕が勝手に呼んでいるだけなので、少し説明します。

どのコミュニティーや集団でも、そこでしか共有されないセリフや言葉が存在します。趣味や同好会では更にその色が濃くなり、部外者は慣れるまで何を言っているか理解できなかったりします。この現象は時に、意味がわかる人に伝わらないので「暗号が飛ぶ」と表されたりします。

さて、本作ではバーチャル空間である「オアシス」で楽しく過ごすためには、アニメ、映画、ゲーム等の「教養」が必須となります。こういった物事の知識が多いプレイヤーほど教養人としてみられ(もちろんゲームなのでプレイ自体が上手くなければ尊敬の対象にはなりにくいが)、さらに、この「教養」がなければクリアできないゲームすら存在します!

 以上から、本作、少なくとも「オアシス」内では、オタク=教養人という図式が成り立ちます

 

スピルバーグという監督

スピルバーグ その世界と人生

いまさらスティーブン・スピルバーグ監督について言及する必要はないでしょう。

ジョーズインディ・ジョーンズジュラシック・パークプライベート・ライアンなど、その後の映画界にも影響を与えた続ける名監督です。

彼のフィルモグラフィの中で、今作レディ・プレイヤー1に最も近い作品は、ズバリ

E.T.です。その理由を彼の作風と共に説明したいと思います。

E.T. (字幕版)

子供大好き

レディ・プレイヤー1E.T.も子供へ愛情が半端じゃないです。明らかに子供達に向けて作っています。そして、スピルバーグ監督が子供に向けて作品を作る時「子供は基本的に善良な存在であり、彼らのすることは全て正しい」という風に描かれます。

大人は悪くて無能

子供が「善良」であるなら、大人は「不良」、つまり悪い奴らとして描かれます。世界は子供からみた目線で描かれており、確かに子供からみれば大人は汚くてずるい存在でです。更につ特徴を追加すると、どこか間抜けで、ミスをしたり、手を抜いて窮地に立たされたりが頻出します。

子供からみて大人は理不尽で悪いやつ、そう映るのは仕方のないことですが、それゆえ欠点もあります。キャラクターが1面的で深みのない人物になりがちです。

悪い奴は大体最後まで悪い、良い人は大体最後まで良い。改心するこも、別の側面を見せることも稀で、この点だけは少し物足りません。

ただ、スピルバーグが子供に向けて作品を作っている時は飲み込まなければならないと思います。大人向けに作っている時は、逆に重厚すぎるぐらいですし。笑

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「バラのつぼみ」とは何か?

既に触れたようにレディ・プレイヤー1の世界は様々な作品を前提としている非常にメタ的な世界です。同様に、様々な作品からの「引用」が発生します。

その中で、特に解説が必要そうな物を1つピックアップします。「ばらのつぼみ」という言葉です。非常に多義的な解釈ができる言葉ではありますが、私なりには「成功者が最後まで追い求めたモノ」ぐらいで解釈しています。

元ネタは、世界最高峰の映画して名高い「市民ケーン」の重要なキーワードとして登場します。この映画を乱暴に説明すると、新聞王であるケーンと死に際に放った「バラのつぼみ」という言葉と、それを追いかける記者を巡る物語です。

作中で「バラのつぼみ」は、彼が幼少期に野山を一緒に駆け巡ったソリ、ひいては当時の生活や記憶を表象します。

華麗なるギャツビーではかつての恋人デイジー、ソーシャル・ネットワークでは口論から別れてしまった恋人のエリカ(元カノばっかやないか!)など、「バラのつぼみ」的な表象はその後の作品でも多く見られます。

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最後に

ここまで重大なネタバレを避けて書いてきました。本編を見れば、他にもあっと驚くキャラクターたちがたくさん登場します。序盤のレースシーンなどこれまで見たことのないレベルの映像がこれでもかと出てきます!是非、極力事前情報を入れずに、大きなスクリーンで見てみて下さい。非常にオススメな1本です!

 

レディ・プレイヤー1 US版オリジナルポスターREG