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没頭できることを求めて

「自殺島」が終わった。

自殺島」と言う漫画を知っているだろうか。読みは「じさつとう」である。

 

ホーリーランド」や「デストロイ アンド レボリューション」を描いている森恒二氏の作品だ。先日、16巻と17巻を一気読みした際に思わず最終巻だったので感想を書いておこうと思う。

自殺島 17 (ヤングアニマルコミックス)

自殺島 17 (ヤングアニマルコミックス)

 

  ◼︎向け

・なんで生きてるのかよく分かんない
・自殺を考えたことがある
・心理描写が多い漫画が好き
・自然の中で暮らしたい!

 

◼︎自殺のその先へ

この物語はいわゆる特殊設定モノで「自殺した(と思われた)人々が実は政府によってとある島に集められていた」という話である。ここであらすじを引用しよう。

 

生きる義務を放棄し、自殺を繰り返す"常習指定者"たちが送られる島──通称、"自殺島"。主人公・セイは、自殺未遂の末、病院のベッドからこの島へと送り込まれた。そこに待っていたのは、セイと同じ"未遂者"たちだった!! 島で自殺を図る人々を目の当たりにし、セイ達は生きる事を選択する。「死ねないなら……生きるしかないんだ」──。

                        ヤングアニマル自殺島」紹介ページより引用

 

この特殊設定により描けるのが“自殺のその先”の話である。

 

人間は自らの意思で命を絶つ稀有な生き物であるが、その行為としての自殺をした登場人物達、彼らが「死んだと思ったら生きていいた」状態になった時どう行動するのか?それが物語の始まりである。

また自殺を繰り返すのか?生の実感から生きることを選択するのか?だとして再び生きていけるのか?良くも悪くも彼らは「死ぬ気で何かをやった人達」なのである。そういう意味で普通の人で無くなった人達の物語だ。

何でも出来る精神状態(文字通り死ぬことも出来る、亜人と違って再起はできないけど)になった時、人は何をどう考え、一体何をするのか?それを描こうとした思考実験漫画である。

 

◼︎死を描くことは生を描くこと

この漫画の大きな失敗はタイトルが物騒なことだ。「自殺」と聞いて良い気分になる人は少ない、そして人にもオススメし辛い。しかし忘れてはいけない、生を描かずして死を描けないし、死を描かずに生も描けない。

「自殺」という「死の入り口」から物語は始まるが、最終的には「生の入り口」を描いて終わる。

 

◼︎結局なんなん

正直に言うとこの漫画には乗り切れなかった、最終話になったとこに気づかないくらいやや惰性で読んでいたことも認める。最終話も傑作かと言われれば、そうとは言い難い。

ただそれは、現在の自己の精神状態に寄るとこが大きい。自殺なんて1ミリも考えてないし、無人島でサバイバルもしたくない。そういうわけで、基本時には誰にも感情移入できなかったのだ。

しかし逆に言えば、それでも最終巻まで読んでしまう面白さはあったのだ。もしこの作品を小中高校生時代や、死にたいメンタルの時に読んでれば間違いなく心に刺さっていたとも思う。そいう意味で受け手の状態によって大きく印象・評価が変わる作品だ。

 

さて、結論と行こう。

生きる事に絶望した時、死にたい時に読めば救われる(かもしれない)作品だよ!

 

自殺島 1 (ジェッツコミックス)

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 とりあえず一巻だけでもどうぞ。

 

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