ネタバレは基本無しで。以下の4つ。
・いまを生きる(ピーター・ウィアー監督:原題Dead Poets Society)
・ある天文学者の恋文(ジュゼッペ・トルナトーレ監督:原題The Correspondence)
・永い言い訳(西川美和監督)
・何者(三浦大輔監督)
◼︎いまを生きる
Understanding Poetry - Dead poets society
「午前10時の映画祭」で上映していたので視聴。名作と呼ばれる映画は言われるだけの理由がある。文句なしに面白い。声に出したいセリフがてんこ盛り盛り盛り。アメリカの名門高校に通うイケメン高校生達を愛でたい人にもオススメ。
オススメ度4:★★★★
◼︎ある天文学者の恋文
一緒に見に行った友人(男)は「モテる男の話は嫌いだ」と吐き捨てて消えていった。それくらい万人受けはしなさそうな設定。っていうか設定は結構微妙。「娚の一生」みたいな枯れ専にはオススメかも。
監督はアカデミー賞をとった「ニューシネマパラダイス」といい、前作の「鑑定士と顔のない依頼人」といい、作風は「ここにはいないあの人の事を思う」という意味で割と一貫している。
オススメ度2:★★
◼︎永い言い訳
これは本当に良かった。今年の邦画の中でもかなりトップにくる面白さ。何が良かったか説明しろと言われれば、安い言葉だが「人の感情を描く」のが巧みなことだ。
映画における演出の問題として「キャラクターを単純に描き過ぎ問題」というのがある。これは、ある登場人物が今何を考えているのか、今どんな感情でいるのかを、わかりやすく説明しようとした結果、薄っぺらい人物像(キャラクター)ができてしまう問題である。
人の内面(感情)は本来目には見えない。それを表す手段としての表情、動作、セリフが使われる。しかしそれらは心の中で思っていることと必ずしも一致しない。怒っていても表情に出さない人もいれば、悲しい時に顔は笑っている人もいる。2つ以上の感情が同時に存在することは往々にしてある(アンビバレントな感情とかいう)。
とかく人の心情は複雑で、それを物語、まして劇映画にするのは想像以上に難しい。口で言っている事と矛盾する行動をさせなきゃいけない、そうすると映画がハイコンテクスト化する。西川監督は、今までの作品も含めて、そこら辺をキッチリ描いている。本当に凄い。
物語終盤、虚栄心に満ちていた主人公が絞りだすセリフは、静かな魂からの叫びのように聞こえました。
オススメ度5:★★★★★
◼︎何者
予告編から嫌な感じは伝わると思うが、そこまで嫌な映画じゃなかった。「何者かにならなきゃいけないプレッシャーと、何者でもない若者の葛藤」を描く話だと思っていたら、そうでもなかった。
個人的によくも悪くも「就活」に一生懸命にならなかった人間なので、劇中で描かれるような経験はしてこなかった。っていうか友達と就活の話はほとんどしなかった。
さて、結局就活にどのように向き合えばいいのか?その答えは劇内でやんわりと描かれる。それが何かと言語化してみれば、他者から見れば夢見たいなことでも目標に向かう、現実的に客観的に地に足つける、どんな批判にあっても四の五も言わずアウトプットし続ける、概ねこの3点だ。
逆に、「口ばかりで実態が伴ってない人」はかなり「痛く」描かれている。でも「自分を実状以上に見せる」っ事が就活で一般的に行なわれているってことは...!?
さて、誰がどれに該当するのか、それは実際に見て確認してほしい。同じ原作者の「桐島部活やめるってよ」と同様、ある人物が「大いなる不在」として描かれている。
オススメ度3:★★★
就活についての思いは一度書いたことがあるので、お時間あれば↓こちらも。
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