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「シン・ゴジラ」が面白かった人にオススメしたい漫画1選

というわけで、御多分に漏れず観てきました!「シン・ゴジラ」。結論から言うとめちゃめちゃ面白かった!今すぐ映画館へgoだ。

 

作品の良さは多くの人が言及しているので多くは触れないが、苦手な映画との比較で良かった点を3点だけに絞ると、

・非現実的な仰々しい大げさ演技  → 抑揚を抑えた演技
・余裕というの名のなめプ     → 全力vs全力
・モブ(エキストラ)気になる問題 → 余計なこと言わないさせない 

も少し細かく言うと、 

 

■非現実的な仰々しい大げさ演技 → 抑揚を抑えた演技

政治家や官僚がメインの登場人物になるので、基本早口。その結果仰々しい演技ができないようになってる。それから、カット割くダレさせない。


■余裕というの名のなめプ → 全力vs全力

相手を見くびって舐めプレイをしちゃって勝ったり負けたりする作品は多いけど、その展開はどうしても腑に落ちない。今作はちゃんとお互いが生きるために死力を尽くす。その結果の勝敗だからこそ、感動があるのだ。いいね、好き。

 

■モブ(エキストラ)気になる問題 → 余計なこと言わないさせない 

主要登場人物の周りにいるエキストラが気になったことがある人は少なくないだろう。何故か棒立ちになっているモブ、現実ならこう動くだろうと思うところを、ただただ「人がいる、これはあなたの知っている日常の一部だ」という表象機能しか果たしていない。

人は多様だ、メインキャラ達だけが特別なわけじゃない。しかしモブにまで細かい演技指導をするのは大変だし難しい。結果、どこに気を使っているか分からないが、彼らを長く映せば写すほど昨品としての質は悪くなっていく。今作はチキンとモブはモブとして扱っている。余計なことは言わせない、させない、なんなら極力顔も映さない。(エキストラは不要という話ではない、名も無きエキストラのお陰で映画は成り立っている)

 

で!今回は「シン・ゴジラ」が楽しめた人にオススメの漫画1選!

 

新井英樹の「 ザ・ワールド・イズ・マイン

 

Q.なぜか?

A.この漫画には①政治の面倒臭さ②巨大生物vs人間(核兵器が描かれている。

 

あらすじとしては、テロリスト2人組(主人公)とそれとは全然関係ない巨大生物ヒグマドン、それを取り巻く人々の話。日本国内だった物語は終盤、世界を巻き込む予想を超えた展開を見せる。エンタメとして面白いだけではなく、凶悪犯に「人権」はあるか?人命は平等か?などのテーマも突きつけてくる。

  

■政治の面倒臭さ

この「政治」という言葉は「組織」や「民主主義」と言い換えててもいいし、人が3人以上集まったら政治は始まる。日本が民主国家、法治国家である以上、それこに民主的な手続き、法に乗っ取った行動が求められる。
 
法を作るのが政治家であり、運用するのが官僚である(建前上だとしても)。政治家になるためは選挙で勝たなければならず、この意味で政治家は人気商売である。政治家の判断基準は国民の理解に大いに影響される。「これは世論に受け入れられるか」「国民に納得されるか」、特定の誰かではないく、国民という非常にボンヤリとした抽象的な対象、政治家は常にこれを意識しなければならない。
 
ここから浮かび上がる問題の一つがこれだ
 
「対象を殺せば、より多くの人が救われるが、犠牲者も出るとする。それでも対象の排除にGOサインを出せるか?」
 
この命題は古今東西あらゆる物語でも語られ、現実にも存在する問題だ。
シンゴジラで問われるのは、ゴジラ無力化の為に非難遅れの市民を犠牲にできるか。日本国の為に関東を犠牲にできるか」である。
 
ワールドイズマインでも似たような状況に総理大臣、そして現場の警察官が置かれる。「立てこもり犯を活動停止にする為に人質を犠牲にできるか。テロリスト排除の為に民間人を犠牲にできるか。」
 
さて、そんなワールドイズマインで登場する総理大臣由利勘平ことユリカンは、この問題に関してこう投げかける。

f:id:dero339:20160804000944j:plain「真説ザワールドイズマイン1巻」より

 

人命、人権、大いに結構。理想を抱くのは重要だし、理想に向かって行動するのは尊いことである。しかし、その理想があまりにも現実を考慮していないとき、それは絵に描いた餅になる。どんな崇高な理想を唱えたところで、人間の性質や本能といったもとへの考慮がなければ、その理想はあまりにも空虚なものへとなってしまう。
 
 

■巨大生物vs人間

巨大生物が現れたらどうなるか。人によってややアプローチは異なる。国防を担うものは駆除したいと思うし、研究者は無力化して研究したいと思うであろう。そして中にはその巨大生物を神聖化する物を現れる。我々は人智を超えたもの神の御業だと考えうる。神の所業であるなら、それは神と同格である。
 
さて、そんな生物を排除すると決めた時、どう対処するか。どちらの作品にも超兵器は出てこない。すでに存在する兵器、あるいは存在するであろう対処法が提案される。そんなかで、わかりやすく提案されるのが核兵器である。
f:id:dero339:20160804003011j:plain「真説ザワールドイズマイン5巻」より

現状人類が持つ最強の武器が核爆弾である。つまり、核兵器が効かなかった場合、それすなわち人類の敗北を意味する。しかし、大きい力には代償があり、当然、核爆弾使用にも代償が生じる。使うか使わないか、効くか効かないか、それが見せ場となる。

 

最後に...
シン・ゴジラ庵野秀明監督もこの漫画を絶賛していたらしいだとすれば間違いなくシン・ゴジラにも影響を与えているはずだ!

 

シン・ゴジラ」もオススメですが、観て面白かった方には「ザワールドイズマイン」も心からオススメいたします。

 

 

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