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没頭できるものを求めて

【映画】「バケモノの子」を観て思った反復についての話

7月11日の公開日に「バケモノの子」を鑑賞してきました。

細田守監督の長編アニメ作品は全て鑑賞済み。テレビアニメの「デジモン」と「おジャ魔女どれみ」の演出回を直前に復習。その他内容の事前情報は無し。声優も知らない。


結論から言うと、良い作品だけど「時をかける少女」の方が好きだな、でした。
この作品についてあんまり多くを語るつもりはないです、1箇所だけグッときたシーンがあったので紹介します。

*この先多分にネタバレを含む可能性があります。
興味のある人は四の五の言わず映画館で見て下さい。悪い作品じゃないです。


「バケモノの子」予告2 - YouTube

 

■良かったのは主人公の成長を描いたシーン

今回の主人公は能力の成長が描かれる。
時かけ」の真琴の能力は偶然手に入れたものだし、「サマーウォーズ」の健二は最初から数学が得意だし、「おおかみこども」で成長は描かれるけどそれは子供が大人になるそれだし。
単に男の子が大きくなって強くなるだけじゃない、その過程が描かれるのだ。
過程というのは、「以前は○○が出来なかったが、△△することによって、○○が出来るようになった。」の△△の部分だ。


主人公の成長シーンを掻い摘むと↓こんな感じ

(ポスター載ってる熊顔が熊徹、少年が九太)

 

少年九太は強くなるため、また、少しでも熊徹に近づくため熊徹の動きを模倣し始める。しかし、全てを真似るのは難しいため、取り合えず足の動きだけ真似る。毎日毎日観察し、足の動きを真似る。夜には熊徹の足跡をたどり同じ動きを繰り返す。

そしてある日ふと気付く、もはや見ることなく音だけで熊徹の動きが分かるようになっていることに。

 

この伏線は残念ながら後に生きない。この「彼しか持っていない能力」で事件が解決することもない。しかしながら、彼は日常では身に付かない能力を自分で開発したのだ。

 

反復によって

 

この反復に関して示唆に富むのが「ハンターハンター」ネテロ会長の次のシーンだ。

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彼はこの途方もない荒行によって、祈る→正拳突きの所作を音速を超えるまでに高める。彼の能力もまた、ある日当然生まれたわけではなく、気の遠くなる反復によって獲得したものなのだ。反復することにより、無駄な動きがそぎ落とされ、動きが洗練され、高みに達する。

 

僕らはネテロ会長みたいに荒行をする必要はないし、別に能力を向上させなくてもいい。生きていくだけなら何とかなる。それでも僕らスキルを高めようとする。理想の自分に近づくために。挫折する人もいるし、好きで勝手に向上していく人もいる。でも多くの人にとってスキルの向上は意識的なものだろう。意識的にスキル向上の為の行為を生活に組み込むのだ。その行為に関して疑うこともなく、迷うこともなく、呼吸するようにルーティン化し無意識化していく。
そうしてある日気付くのだ、自分の能力が向上したことに。

 

日常の所作で身に付かない能力は反復によってしか向上できない

 

ギターもドラムもピアノもバレエもソロバンも電卓もハンマー投げも格闘技も人形遣いも陶芸も筋肉も。ありとあらゆるものが、およそ道があるものは、ただ日常生活を送っているだけでは身に付かない。

 

反復することなく、ある日目が覚めたら理想の自分になっていることはないのだ。

 そんなことを思い出させてくれた作品でした。

 

 

バケモノの子 (角川文庫)

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