パラグラフリーディングという言葉を聞いた事があるでしょうか。ググれば詳細な説明がたくさん出てきますが、乱暴に言ってしまうと文章の本旨を見失わずに読む方法のことです。
詳しくは後述しますが、 この手法は英語だけではなく現代文にも応用でき、受験を超えて社会人になってからも使える技です。 なので、ぜひ若いうちに身につけて置いて欲しい能力だと思っています。
こんな人におすすめ
・単語・文法といった基礎が終わってる受験生
・もっと正確に長文を読めるようになりたい
・英語偏差値60の壁を越えたい
・頭を良くしたい
パラグラフリーディング概論
頭が良いとはなんだろう?
さて今回はタイトルとして「要約で頭を良くしよう」と書いた。そもそも「頭がいい」とは何だろうか?
この答えは人によって様々だろう。しかし今回はズバリ「抽象と具体を自由に行き来できる能力がある」と定義します。
これをさらに短く言うと「抽象的思考ができる」と言い換えることができます。
パラグラフリーディグの効用
パラグラフリーディングは抽象と具体を行き来する訓練として最適です。
パラグラフリーディングをするためには各パラグラフを要約できるようにならなければなりません。
要約するためには各パラグラフの本旨を掴む必要があります。
本旨を掴むためには各パラグラフが何を言いたいのか抽象化して考える必要があります。
つまり、パラグラフリーディングをするために抽象的思考をして要約を作る、その訓練を通して「頭が良くなる」のです。
大人になっても使えるスキル
なぜ社会人になってからも使えるか説明します。社会人として必要なスキルと次のようなものがあります。
- 大量の資料をまとめて報告書を作成する
- 新しい企画を提案する
どちらの場合も「何が本質的な部分で、結局何を主張したいのか」を自分の中で掴んでおかなければなりません。
そしてその時に、パラグラフリーディングで学んだ能力が活かせます。
英語の勉強にパラリーを取り入れることで、将来役立つ能力も訓練することができる。まさに一石二鳥の方法です。
文章を読む上での大前提
パラグラフリーディングをする上で大前提として知っておけなければならないことがあります。それは、
1つの文章でできる主張は1つ、
各パラグラフでできる主張も1つ
ということです。
そして、各パラグラフの主張を通して全体の主張を形成するというのが一般的な文章の構成になります。イメージこんな感じです。
全 ⇦パラ1の主張
体 ⇦パラ2の主張
の ⇦…
主 ⇦…
張 ⇦最終パラの主張
これを大前提として、試験中に行うパラグラフリーディングと、復習の時に行うパラグラフリーディングと訳で紹介します。
パラグラフリーディング応用編
試験中に使えるテクニック
これから紹介する手法は試験中に使えるパラグラフリーディングです。
こんな悩みがある人は試して、取り入れる価値ありです。
具体的なやり方
具体的な方法は次の通りです。
①パラグラフ1と最終パラグラフをざっくり読む
②各パラグラフの1文目(よく分からなければ2文目)のみ読む
③この時点で答えられる設問には答える
④設問から本文中に書いてある箇所に目星をつけて、そこを中心に読んで回答する
それぞれ補足していきます。
①パラグラフ1と最終パラグラフをざっくり読む
まず最初と最後をパラグラフを読みます。ここからテーマと筆者の主張がわかります。例えば、テーマが「猫」だったとして、主張は「猫はやっぱり可愛い」とか「猫は人が思っている以上に賢い」とかが筆者の主張になります。
Aをテーマとすると「Aは(Bなので)Cだ」という形で概ねまとめることができます。
②各パラグラフの1文目(よく分からなければ2文目)のみ読む
各パラグラフは基本的に「抽象→具体」の流れで進みます。なので、各パラグラフの冒頭にそのパラグラフで一番言いたいこと書いてある可能性が高いです。
各パラグラフの最初の方を読んで、そのパラグラフのトピックや主張を試験用紙の端に簡単メモしておいて下さい。
これによって、後で設問を読んだ時に、どのパラグラフを読めば求める内容が書かれているかのあたりをつけることができます。
③この時点で答えられる設問には答える
全体の流れがわかった段階で、一旦設問全てに軽く目を通して下さい。そして、回答できそうな問題にはこの時点で一旦回答してみて下さい。
本文全然読んでないけど大丈夫?と思われるかもしれませんが、what is the main topic of this passage?など文章全体に関する問題はこの時点で答えることができます(少なくとも選択肢の一部を消すことはできます)。
④設問から本文中に書いてある箇所に目星をつけて、そこを中心に読んで回答する
後はいつも通り設問を解いて下さい。ただし、全文をベッタリ精読するようなことはせず、設問に聞かれている内容に関係する部分だけ読んで下さい。
既に大まかなトピックのメモの残しているので、大体どの部分を読めばいいか察しがつくと思います。
復習の時にやるパラグラフリーディング
ここからは時間をかけたパラグラフリーディングのやり方です。試験時間にここまでやる余裕はないので、問題集や過去問を解き終わった後にすることだと思って下さい。
これをやるだけで、復習の濃さが何倍にもなるので是非取り入れて下さい。
方法は
各段落を要約し、全体のトピックと主張をまとめる
これだけです。 少しだけ補足するとこんな感じです。
①各段落を要約する(=その段落が結局何を言いたいのかまとめる)
②全体の話題と筆者の主張をまとめる(もし主張がなければ無しでOK)
先にも触れましたが、パラグラフリーディングの本質は文章の本旨を掴むことです。
文章における具体例、体験談、実験データなどは主張の正当性を高める手段にしか過ぎません。なので、そう言った具体的な内容は要約に入れる必要はありません、すっとぱしちゃってOKです。
結局何を言いたいのか?これを常に意識しながら読んでみて下さい。そこを掴むことができれば自然と要約も書けるようになります。
パラグラフリーディングを学ぶのにオススメの教材
ここまで延々とパラグラフリーディングについて説明してきましたが、本で体系的に学びたい!という人もいると思います。そんな人向けのオススメ教材を紹介します。
入門編
入門編と書いていますが、内容的にメチャメチャ簡単と言うわけではありません。そもそもセンター試験レベルで8割に満たない受験生は単語や文法に穴があるはずなので、そちらから取り組んで下さい!パラグラフリーディングはそういった基礎ができてからの手法です!!
...とは言えどうしてもやってみたいと言う人にオススメなのがこちら、センターレベルの内容もあるので、そこまで無茶ではないかなと思います。でも偏差値50くらいの学力は欲しいです。
こちら↓は割と最近発売された本、入門書としてはこちらでもOKです。例によって本屋さんで見比べて、気に入った方を買って下さい。
発展編
センター試験は余裕で、早慶や難関国公立を目指している人にオススメなのがこちら。
出題も東大や一橋といった難関大学の過去問から選出されており、解説もメチャメチャ詳しいので単純に長文問題集としても超優秀です(音源がないのが本当に残念)。
出題大学を多い順に並べるとこんな感じです。(右の数字は出題英文数)
東京大学 5
一橋大学 3
東京工業大学 2
東北大学 2
大阪市立大学 2
徳島大学 2
上智大学 2
京都大学1
東京医科歯科大学1
慶應義塾大学1
早稲田大学1
長文問題集
ここまではパラグラフリーディング専用の教材を紹介してきましたが、ここからはベストセラーの長文問題集の中でパラグラフリーディングにも転用できるものを紹介します。
具体的には各段落のトピックや要約がまとめられている教材です。
次に最近勢力を伸ばしている旺文社の全レベル問題集。これのレベル5とレベル6は段落ごとのまとめが載っています。ただし、レベル4以下は掲載されていないので注意して下さい。
これからすること
さて、これから何をするのか。具体的には市販の長文問題集を使う。問題を解きつつ以下のことをして下さい。
①各パラグラフのトピック(話題)を書く
②各パラグラフの要約を作る。(やり方はトピック+主張or説明)
②全体のトピックかき、筆者の主張をまとめる。
これだけ見てもよくわからないと思うので、これから具体例としてやっておきたい英語長文500に取り組んでみたいと思います。これを参考にして、自分でも取り組んでみて下さい。
タイトルにもなっている様に500ワードほどの文章が20文入っています。パラグラフ的にも6〜9パラグラフなのでちょうどいい感じです。
それでは早速取り掛かってみましょう!
dero339.hatenablog.com
自分のブログをパラグラフリーディングしてみる
自分の過去のログで例を出そう。まずは⇩これにざっと目を通してほしい。
dero339.hatenablog.com
この文章における【全体の主張】をまとめると「星野源は恋人を取られてもいいくらいめちゃめちゃイケてる男だ!」になる、そしてその主張を強化するために、各々の事例を挙げている。
これ例は論文でもなんでも無いからそこまで厳格ではない。しかし、学術論文や英語の文章は綺麗にこの構成(主張⇨主張を正当化する論理)が取られている。これを逆に利用して効率的に読もうというのがパラグラリーディングの手法である。